なぜ日本にはラブホテルがあるのか考えたら所得問題が見えた話

歩いていると至るところにラブホテルがあります。
東京に限らず、日本全国どこでも。
渋谷道玄坂、新宿歌舞伎町はもとより、風営法の関係で住宅地に建てられないラブホテルは、高速道路沿いにも数多く存在します。

「何でこんなにたくさんあるんだろう?」と思ったことはありませんか。
ラブホテルは日本全国で何千とも何万とも言われる数あります。法的に届け出のあるものと、届け出なしで営業しているものがあるためその実態を把握するのは困難だそう。

稼働率は300%ともいわれており、経済低迷の時期においても変わらず人気を誇っているため、それがイギリスBBCに取り上げられるくらいです(この記事は面白いので英語の勉強にもぜひ)。

また、海外旅行に行ったらわかりますが、海外に「ラブホテル」という施設は存在しません。車を使って長期旅行している人が使うモーテルはありますが、日本のラブホテルに該当するような目的を持った場所は存在しないのです。

日本にラブホテルが発展した理由

まずは数より何より、ヨーロッパにもアメリカにも存在しない固有の施設が、なぜ日本に存在するかということです。

端的に言えば需要があるからなのですが、特に「実家暮らしの若者が多いから」という理由が考えられます。

学生時代はもとより、就職して社会人になっても親元を離れず実家で暮らす人がとても多いのです。
多くの場合、実家にいた方が経済的に楽なことが理由です。

また、日本の家は世界的にみても狭いので、プライバシーの確保はとても難しいですよね。
いつ母親が部屋の扉をあけて「お茶どうぞ〜」なんて入ってくるかもわからない実家の自室で、彼女といちゃいちゃしたい人はいないですよね。

日本の若者は実家暮らし!

日本の若者がなかなか実家を出て行かない傾向は、世界的にみても顕著であり、そのことは内閣府の資料でもこのことは触れられています。

”まず親との同居率をみると,父親・母親とも,韓国と日本では,70%~80%であるのに対して,スウェーデン,アメリカ,ドイツでは,30%前後~40%前後である。つまり,親元(定位家族)から離れる時期は,一般に欧米先進国で早く,韓国,日本では遅いということである”(内閣府:共生社会政策統括官

なんで実家を離れない?

若者が実家を離れない原因としてあるのが、所得の問題

社会人になり経済的に余裕があっても、効率よく貯蓄を増やすために実家暮らしを続ける人ももちろんいますが、収入が低く一人暮らしでは生活が成り立たないため、実家暮らしを続ける人が多くいるのです。

ビッグイシュー基金によれば、年収200万円以下の20代30代の8割は実家暮らしをしているそうです。

非正規雇用が拡大している今、こういった経済的理由で実家を出ることができない人が多くいることは、大きな社会問題です。
経済的理由で実家暮らしをしている人は、結婚しようと思う可能性が低く非婚率が高まり、少子化にも大きく影響します。

フランスにラブホテルがないわけ

ヨーロッパなど欧米諸国ですが、若者自身も自立心が強く、社会的にも「社会人になったら親元を離れて一人暮らしをすべき」という風潮があります。

特に、フランスでは「社会人になったら一人暮らしが当たり前、恋人ができたらすぐに同棲」と考える人が多いようです。
また、フランス社会では離婚に伴う負担が大きく、婚外子(婚姻関係にない男女にできた子ども)への法律的差別も少ないことから、恋人と同棲し結婚しないまま子どもを産み育てる家族も多いようです。

つまり、日本と異なり「同棲」への嫌悪感が社会的に少ないことが考えられます。
一人暮らしが普通かつ、恋人ができれば両親公認で同棲ができるからこそ、ラブホテルを見かけることがないようです。

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